「離職」と「休業」に関する雇用保険の手続き

従業員の退職や休業は、会社にとって大きな出来事です。事務担当の皆さんが慌てず対応できるよう、今回は「離職」と「休業」に関する雇用保険の手続きを解説します。

従業員が退職!「離職票」の作成と交付

従業員が退職する際、特に重要なのが「離職票(雇用保険被保険者離職証明書)」の発行手続きです。これは、退職した従業員が失業手当(基本手当)を受け取るために必要不可欠な書類です。

  1. 総務担当者:「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を作成し、ハローワークに電子申請します。
  2. ハローワーク:提出された書類を確認し、「離職票-1」と「離職票-2」を会社に交付します。
  3. 総務担当者:ハローワークから交付された離職票を、速やかに退職者本人に渡します。
重要ポイント
  • 離職理由の記載:「会社都合」か「自己都合」かによって、失業手当の給付日数や開始時期が大きく変わるため、事実に基づき正確に記載する必要があります。トラブルを避けるためにも、退職者本人に離職理由を確認しておくようにしましょう。
  • 賃金額の記載:離職日以前6ヶ月間の賃金支払状況を正確に記入します。これが失業手当の金額の算定基礎となります。

※退職者が希望しない場合は? 退職者が59歳未満で、すぐに次の仕事が決まっているなど、離職票を希望しない場合は、離職証明書を提出する必要はありません。(ただし、資格喪失届の提出は必須です)

社員がお休み…「育児休業給付金」と「介護休業給付金」

育児や家族の介護のために会社を休業する社員の生活を支えるため、雇用保険から給付金が支給されます。それぞれの支給額や支給期間等については以下にまとめてみました。給付金については各従業員の実情がわかる、各事業所の事務担当が申請することになっています。

………………….育児休業給付金介護休業給付金
対象者原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得する男女2週間以上にわたり常時介護を必要とする家族を介護するために介護休業を取得する男女
支給額休業開始時賃金の67%
※休業開始から6ヶ月経過後は50%
休業開始時賃金の67%
支給期間原則、子が1歳になるまで(保育所に入れない等の場合は最長2歳まで延長可)対象家族1人につき通算93日まで
※3回まで分割取得可
手続き各事業所がハローワークに申請各事業所がハローワークに申請
社会保険料免除される免除されない

事務担当者の役割は、休業する社員から申し出があった際に、必要な書類を案内し、ハローワークへの申請手続きを代行することです。 特に、育児休業中の社会保険料は免除されますが、介護休業中は免除されないという大きな違いがあります。この点は、社員の方へ説明する際に、必ず伝えるようにしましょう。